前回のエントリーの続きで、必要な書類の準備を進めていきます。
0から作るのは大変なので、参考資料を入手します。
前回も紹介した法務省のオンライン申請サイトに行きます。
2 添付署名情報への電子証明の付与 の下の行にある、オンライン申請に必要な添付書面情報のリンクをクリックします。
代表社員が法人でない場合 のWordファイルをダウンロードします。
1つのファイルに複数の内容が記載されているので、必要な書類に分割して作成していきます。なお、お役所が作成した資料ということもあり、読点にカンマ「,」が使われています。気持ち悪い人はテン「、」に変えるとよいと思います。元号も西暦に直してかまいません。(上場企業の定款も前回の改元時に西暦に直している例をそれなりに見かけました。)
定款
定款に載せる基本事項を決定します。
商号
商号というのは会社名のことです。同じ住所(市区町村)内で重複するものはNGとか、有名な会社と被っているのはNGとか、いくつか制約があるようなので、それらを踏まえて決めましょう。
実際に設立する会社でどれくらい本気で事業を行うかにもよりますが、ホームページやメールアドレス用にドメイン取得可能かどうか、という観点もチェックするとよいと思います。他人に取得されるのを防ぐため、登記前でも商号を決めた段階でドメイン取得してもよいと思います(創業費にできるので領収証は保存しておく)。
登記時は説明不要ですが、将来、対面銀行での口座作成時等で商号の由来について聞かれるかもしれないので、説明できる内容にしておくのが無難です。
事業目的
事業目的には、会社が行う事業をいくつか記載します。ここに記載されていない事業はできないので慎重に記載が必要ですが、「前各号に附帯する一切の事業」という文言を最後に入れることである程度は柔軟に解釈されるようです。個人事業主とマイクロ法人を使い分ける場合は、重複しないようにする必要があります。
また、法人銀行口座を作ることを見据えた場合、投資関連は入れないほうがよいかも、と書いてあるサイトもあったので、有価証券の売買とか、暗号資産(仮想通貨)の売買とかは書かないほうがよいかもしれません。書いてなくても有価証券の投資はできるようです(営業外収益扱い)。入れすぎると、将来、対面銀行での口座作成時等で事業内容を聞かれたときに説明が面倒になるので、欲張りすぎないほうがよいと思います。
本店所在地
本店所在地は世の中に公開されてしまうため、プライバシー保護を気にすると自宅にするかバーチャルオフィスにするかが悩ましいです。将来の法人銀行口座の開設を見据えると、バーチャルオフィスはやめたほうがよさそうです。
定款の記載としては最小行政区画(市区町村)まででよいようですが、代表社員の住所として記載が必要ですし、国税庁の法人番号公表サイトで会社名検索しても出てくるので、自宅住所が公開されてしまうのは避けられません。(私の場合ですが、登記完了の翌日に某公共放送を名乗る方が受信料の案内の名目で自宅に来ました。他にも税理士関連等のDMもそれなりに来るようになります。マイクロ法人化の大きなデメリットですね。)
事業年度
事業年度の決め方ですが、初年度決算が長くなるようにする、でよいと思います。初年度決算が短くなると、すぐに決算が来てしまい大変なので。3月決算にすると税理士さんの繁忙期に重なるのでお勧めしない、と書いてあるサイトをいくつか見かけました。FIRE後に設立するマイクロ法人で税理士さんにお世話になる予定がなければ、気にしなくてもよいと思います。
資本金
資本金ですが、少なすぎると信用低下につながり銀行口座開設等に影響があるらしいです。マイクロ法人としては100万円程度にしておくのが無難だと思います。設立後に不足する場合は、役員→法人への貸付、という形で自由に資金投入できるので、資本金を多額にしすぎる必要はないようです。あまり高額にすることはないと思いますが、1,000万円超になると消費税の対象になったり、法人税の均等割が高額になってしまうので要注意です。なお、許認可事業を行う場合はそれぞれ最低資本金があるとのことです。
上記の各項目を決定したら、コピーしたWordファイルの定款部分以外は削除し、残りを編集して定款を作成します。上記に記載していませんが、公告の方法という欄は「官報に掲載」とするのが無難なようです。電磁的方法というのが気になりましたが、これを実現するにはいろいろとお作法が必要なようで、よくわかりませんでした。
なお、MoneyForwardクラウド会社設立のようなサイトでもテンプレート的な内容で作成できるようです。私は使いませんでしたが、初めから利用するクラウド会計ソフトを決めている場合はこういったサービスを使うのもよいかもしれません。
代表社員、本店所在地及び資本金を決定したことを証する書面
コピーした Wordファイルの代表社員、本店所在地及び資本金決定書部分以外は削除し、残りを編集して代表社員、本店所在地及び資本金決定書を作成します。
払込みがあったことを証する書面
コピーした Wordファイルの払込証明書以外は削除し、残りを編集して払込証明書を作成します。通帳のコピーの添付が必要です。以下の3ページ分をコピーして貼り付けます。
- 通帳の表紙
- 通帳の表紙裏
- 通帳の明細 (振込に関する部分にマーカー又は下線を付す)
自分の別の口座から振り込む感じですね。ネット銀行なら画面キャプチャでもよいようですが、私の場合は無難に都市銀行の通帳で準備しました。(通帳レスが進んでいますが、システムトラブル多発の某銀行はまだ移行前で通帳が有効でした。)
印鑑届書
法務省の「オンラインによる印鑑の提出又は廃止の届出について(商業・法人登記)」の記述に従って作成します。電子的な印鑑ではなく、実際のモノとしての印鑑の申請になるので、申請用紙に実際に印鑑を押印し、スキャナ等でPDFデータ化することになります。注意事項に記載されていますが、印刷時やスキャン時にサイズ変更されないよう注意が必要です。
私の場合は、印鑑以外の記入事項については事前にAdobe Acrobat Reader DCの注釈追加機能で追記し、PDF化した上で申請用紙を印刷し、押印した上でスキャナでPDFデータ化しました。
書類の準備ができたら、実際のオンライン申請に進みます。別のエントリーで説明します。
前回のエントリーにも記載しましたが、書面申請のイメージが書いている本が一冊あると理解が深まります。私は以下の本に助けられました。
合同会社設立&運営完全ガイド 横須賀 輝尚 (著), 佐藤 良基 (著)
さんしぐのプロフィール
さんしぐ です。40代でのFIREを2022年1月に達成。FIRE関連の情報等を発信したいと思います。2級FP技能士、IT技術者、INTP。