マイクロ法人は一人会社の社長であり、その配偶者はサラリーマンとして普通に他社で働いていることが多いと思います。
配偶者がパート勤務等で勤労時間減少(ダウンシフト)を志向し、収入減少により被扶養者とする条件を満たせる場合、いわゆる扶養に入れることで世帯として社会保険料を節約することができます。
私の配偶者も転職してパート勤務になり月収が8万円に減少し扶養要件を満たせることになったので、手続きをやってみました。その内容を共有します。
被扶養者に該当する条件
上記の日本年金機構のサイトによると、
収入要件として、
- 配偶者の年間収入が130万円未満
- 収入が扶養者(被保険者)の収入の半分未満 (→社長の収入は配偶者の2倍以上)
とあります。
また、ここでの収入は過去のものでなく、今後1年間の見込み額を算出、とあります。
マイクロ法人の社長の場合、給与収入である役員報酬が低いことから、給与収入だけでは配偶者の2倍以上を満たすことが難しいのですが、給与収入以外の恒常的な収入がある場合は、合算した金額を届出に記載すれば申請できます。(FIRE済であれば、実態として扶養しているはずなので、配当収入等の見込み額を含めた金額を記入すればよいです。)
私が最初に申請したときは、給与収入のみを記載していたのですが、それでは受理されませんでした。参考までに、そのときに以下のコメントが記載されていました。
被保険者と被扶養者の収入欄に記載された金額では被扶養者の収入要件(1/2未満)を満たしていない為、返戻します。ご確認下さい。尚、記載に誤りがある場合は訂正の上、記載に誤りがない場合で申請を継続される場合は具体的な生計維持関係を別紙等に記載の上、再申請願います。なお、被保険者の給与収入以外に恒常的な収入がある場合は、合算した金額を届出に記載いただき、その金額が被扶養者の収入の2分の1以上であれば、被保険者の申立書の添付は不要です。
手続き内容
上記の日本年金機構のサイトによると、被保険者が事業主を経由して「被扶養者(異動)届」を提出する、となっています。
事実発生から5日以内に提出が必要です。申請してから保険証が来るまでに時間を要するので、早めに申請することをおすすめします。
手続き方法
電子申請(e-Gov)、郵送、窓口持参がありますが、年金事務所へ実際に足を運んで提出し、窓口の係の方に書類をその場で確認いただくことを強くおすすめします。(私はe-Gov電子申請でやってみたのですが、システムがイマイチで長期化してしまったため、途中で方針を変更し窓口で申請しなおしました)
年金事務所へ行って提出(推奨)
届書様式のリンクは上記の日本年金機構のサイトにあります。最新のものを利用しましょう。窓口で用紙をもらってその場で手書きでもかまいません。不明な点は窓口の係の方に相談しながら記入しましょう。以下の情報が必要なので事前に把握しておきましょう。
- 事業所整理番号 (過去に受け取った決定通知書や毎月の保険料案内に記載されています)
- 被保険者(マイクロ法人の社長自身)の被保険者整理番号 (たぶん1だと思いますが)
- 被保険者、配偶者(被扶養者)の個人番号(マイナンバー)
- 被保険者、配偶者(被扶養者)の見込み年収 (被保険者の収入は2倍以上の金額)
なお、以下のリンク先に被扶養者の認定事務に関するQ&Aが記載されており、「⑤ 自営業による収入、不動産収入等がある場合」は、公的証明書として「直近の確定申告書の写し」で確認する、とあります。申請時は事業主が確認したチェックをつけることでOKのようですが、後で調査等が発生したときは確定申告書の写しを示すことになるのかもしれません。
○「日本国内に住所を有する被扶養者の認定事務について」に関する留意点について
e-Gov電子申請(非推奨)
私はe-Govで電子申請で進めていたのですが、最終的に窓口で紙での申請としました。e-Gov電子申請が非推奨な理由は以下です。
- そもそもe-Gov電子申請のシステム自体が時間帯によっては重く、レスポンスが悪い。
- 申請時点で申請内容の中身のチェックがされない。窓口であれば係の方がその場で内容をチェックしてくれますが、e-Gov電子申請では必須記入項目の記入漏れチェック程度であり、少しの内容不備でも受理されない。
- 申請してから結果が戻ってくるまで時間がかかりすぎる。(10月上旬で繁忙期だったのかもしれませんが、約7営業日待って返戻された指摘内容が単純な記入不備だったときは、ショックを受けました。保険証を早く発行して欲しいという要望に対するスピード感がなさすぎます。(なお、保険証発行前にどうしても病院に行く必要があるときは、一旦全額を建て替えて後で清算できるようです。面倒そうなのでなるべく避けたいですが。))
- 申請に対する結果が返ってきたことの通知がなく、自分から定期的にe-Govにログインしてステータスを確認する必要がある。メールアドレスを登録しているので通知して欲しいものですが、それさえ実装されていない。
- 返戻となり再提出する際に、1項目のみ修正でよいにも関わらず、全部書き直しを求められる。(私のミスもあったのですが、1回目で付けていたチェックが2回目で外れてしまい、そのチェックがないことで再度返戻となってしまいました。この時点で下旬になってしまっており、その後の3回目の電子申請で同じやりとりとなるリスクを考えて窓口の紙申請に切り替えました。)
という感じで、システムとしてイマイチすぎて税金が有効活用されていないことに対して怒りがこみ上げてくるレベルです。マイクロ法人の社長は社会保険労務士ではなく完璧な申請を上げれるわけではなく、何度も申請する内容でもないので、こういった低レベルの情報システムの相手をせずに、窓口に行って申請するのが確実です。
以下、e-Gov電子申請で申請するときに参考になる情報を示しておきます。
e-Gov電子申請にログインします。e-Gov電子申請へのログイン方法について、過去に記事にしたことがあるので参考にしてみてください。
手続き検索で、「健康保険被扶養者(異動)・国民年金第3号被保険者関係届」で検索し、新しい日付のもの(2022年12月時点では、「(2022年10月以降手続き)」のほう。)を選択し、右下の申請書入力へを押下します。
事業所整理番号の入力欄が3つあるため困惑すると思います。以下のサイトの情報が参考になります。(1つ目に都道府県コードを記入する、とのこと。)
その他の項目はネット上で社会保険労務士さんが公開している情報等を参考に記入しました。注意が必要な点は以下だと思います。(私が再提出のときに引っかかった点です。)
〇被扶養者の収入証明書が添付されていないため、返戻いたします。なお、事業主が所得税法上の控除対象配偶者、扶養親族であることを確認し、事業主確認欄を「有」で申請いただく場合は、添付を省略できます。
○続柄の確認欄にチェックまたは、備考に「続柄確認済」の記載がありません。続柄確認はそれぞれの被扶養者に必要なため、記入の上再申請をお願いします。
万が一、返戻となったときに、XMLファイルが添付されてきますが、それを参照するには特殊な方法(Internet Explorer以外のブラウザでXMLファイル形式の公文書を確認する方法)が必要です。以下のサイトが参考になりました。
まとめ
マイクロ法人の社長として、配偶者を扶養に入れるための被扶養者異動届の提出をやってみて得たノウハウの共有でした。
FIRE済でマイクロ法人を設立していない場合は国民健康保険に加入しますが、扶養という制度がないため、配偶者、子ども分も保険料の負担が発生します。国民年金も第3号被保険者になれないので、配偶者は第1号被保険者として負担が発生します。マイクロ法人の社長となることで世帯としての社会保険料を節約できます。
なお、当方は社会保険労務士ではありません。あくまで私自身が経験したことを共有する趣旨の位置づけであることを認識ください。
上記は2022年10月時点の内容となります。
さんしぐのプロフィール
さんしぐ です。40代でのFIREを2022年1月に達成。FIRE関連の情報等を発信したいと思います。2級FP技能士、IT技術者、INTP。