マイクロ法人運営:1期目決算・申告(申告書作成 (申告ソフト比較など))

マイクロ法人

「全体総括・所感」からの分割記事です。

決算書を確定させたら、申告書の作成に着手します。決算書の確定の記事は以下です。

参考にしたサイト

上記の「全体総括・所感」にも書きましたが、会計ソフト、申告ソフトを提供している各社のサイトが参考になりました。

申告ソフトの選定

税務署や自治体から紙の申告書が送付されてきますが、令和になっても紙に手書きで申告書を作成するのは厳しいので、電子化したいところです。

有名どころの申告ソフトで候補となる選択肢としては、全力法人税、税理士いらず、freee申告、e-Taxソフト、といったところでしょうか?

私が比較した全力法人税、freee申告、e-Taxソフトについて表形式で比較してみます。(税理士いらずは全力法人税と同等と感じたため、試用を見送りました)

全力法人税freee申告e-Taxソフト
使いやすさ
・入力画面は使いやすい。
・別の会計ソフトからのインポートが面倒。

・入力画面の使いやすさは全力法人税のほうが上。
・freee会計と自動連携のためインポート不要で使いやすい。
×
・別表を手入力することは可能だが、自動計算・自動転記等の機能はない
(マニュアルには一部あると記載があるが…)。
Webサイトの説明
元国税局で税務調査を経験した税理士さんによる説明でわかりやすい

大手であり一般的な説明はある。
税務調査の実態など全力法人税ほど踏み込んだ説明はない。
以下、評価せず(使いにくいので)
対応する別表
別表6(1)に対応していない

別表6(1)に対応している
電子申告対応
e-Tax用ファイルを出力して、e-Taxで電子申告する方式

freee申告画面から容易に電子申告可能(要アプリ導入)
値段
\21,582 (初回の1会計期間)
\11,000 (翌年度以降/年度)

\27,280 (契約日から1年間)
翌年度以降の割引なし
無料
その他freee会計を利用していることが前提。

※別表6(1)は、所得税額の控除に関する明細書で、利子や配当を受け取る際に源泉徴収された税金を取り戻すのに必要となります。投資をしているマイクロ法人の場合はある程度の金額になりますので、申告して還付を受けたいところです。

全力法人税、freee申告ともに、有料契約前に無料である程度の入力・確認が可能です。別表1など他を入力後に自動計算される別表については有料契約が必要になる、という仕組みとなっています。知識がある方は、無料の範囲で全力法人税に入力し、それ以外はe-Taxや手書きで作成することで費用を抑えることができます。

私はfreee会計を利用しているため、全力法人税もしくはfreee申告を無料の範囲で試用してから選択することにしました。(マネーフォワードを利用していたら全力法人税を選択していたと思います。)

全力法人税の無料お試し

全力法人税のサイトから無料アカウント登録でアカウント登録をして、その後は画面の指示に従って入力していきます。詳細は省略します。自動計算、自動転記等も対応されています。

何を入力するかについての解説も充実していて使いやすいと感じました。無料の範囲については帳票単位でPDF出力も可能で、申告作業のイメージを掴むのにとても役立ちました。(PDF出力できなかったのは、別表1(法人税の計算)、別表16(6)(繰延資産)、別表16(8)(一括償却資産)、地方税の第6号様式、第20号様式でした。)

私が試してみて引っかかったポイントは以下です。

freee会計の開始残高データのエクスポートが手順通りにできなかった

↑の手順に従ってfreee会計のデータインポートを実施しようとしたのですが、開始残高データのエクスポートについて、手順に記載のメニューがfreee会計側で表示されませんでした。freee会計側の理由は分かりませんでしたが、開始残高データとして必要なのは資本金と創立費のみでしたので、以下のcsvファイルを手入力で作成し、汎用形式でインポートすることで対応しました。

"勘定科目","補助科目","借方残高","貸方残高"
"現金",,"1000000",
"資本金",,,"1000000"
"創立費",,"80000",
"役員借入金",,,"80000"

freee申告の無料お試し

「まずは無料でお試し」から試用できます。「freee申告の使い方ハンドブック(PDF)」や法人向け申告ガイドを参照しながら入力していきます。詳細は省略します。自動計算、自動転記等も対応されています。

私個人の感想ですが、全力法人税のほうが画面は使いやすいと感じました。無料の範囲は全力法人税のほうが多かったです。

freee会計との連携が強力なのと、別表6(1)対応、電子申告を容易にできる点はfreee申告の強みですね。

freee会計を使っていると、決算時期あたりに営業からfreee申告のチュートリアル説明の案内(営業)が来ます。実際に話を聞いてみて、全力法人税、freee申告の無料範囲で試してみてからどちらを採用するか判断するのがよいと思います。(話を聞く前に全力法人税、freee申告の無料範囲お試しを済ませておき、疑問点を明確化しておくのがお勧めです。ある程度イメージを持っておかないとfreee申告の説明を受けるだけになってしまい、充実した質疑のやりとりにならないので。)

freee社提携の税理士さんもこのシステムを使っているそうで、安心感はあると思いました。利益が1千万円を超えてくると税理士さんに相談することを推奨しています、とのことでした。

公の場で明確に書きにくいのですが、製品の比較表の値段の項目で記載した契約期間(契約日から1年間利用可能)をうまく利用することで長期的な観点で安く利用することが可能かもしれません。( #あとは分かるな というtwitterでたまに見かけるハッシュタグ )

作成した別表と記入のポイント

全力法人税とfreee申告を両方試してみて、freee会計との連携が強力なのと、別表6(1)対応の観点から、私の場合はfreee申告(ベーシックプラン)を使うことにしました。

本記事は私の体験談という位置づけであり、基本的な事項の説明は割愛したいと思います。(益金不算入等について勉強しましたが、分かりやすい記事はいっぱいあるので、改めての説明はやめておきます。)

各別表について記載する内容の説明は、全力法人税の以下サイトの後半からたどれる各記事が参考になりました。

参考に私が作成した別表等と、上記で紹介したガイドブック等に記載がなかった部分で苦労した点について共有します。

別表名帳票名備考
別表1
別表1(次葉)
各事業年度の所得に係る申告書
別表2同族会社等の判定に関する明細書
別表4(簡易様式)所得の金額の計算に関する明細書
別表5(1)利益積立金額及び資本金等の額の計算に関する明細書
別表5(2)租税公課の納付状況等に関する明細書
別表6(1)所得税額の控除に関する明細書
別表7欠損金又は災害損失金の損金算入に関する明細書当期赤字のため
別表16(2)旧定率法又は定率法による減価償却資産の償却額の計算に関する明細書
別表16(6)繰延資産の償却額の計算に関する明細書
別表16(8)一括償却資産の損金算入に関する明細書
第六号様式道府県民税・事業税・地方法人特別税の中間・確定申告書
第六号様式別表九欠損金額等及び災害損失金の控除明細書当期赤字のため
第二十号様式市町村民税の中間・確定申告書東京23区なら不要
添付書類備考
法人事業概況説明書全力法人税の記事がとても役に立ちます。
法人事業概況説明書とは?元国税調査官が0から書き方まで徹底解説
勘定科目内訳明細書
(以下のもの)
全力法人税の記事がとても役に立ちます。
勘定科目内訳明細書とは?書き方を全16種類の記載例を使って完全解説!
・預貯金等の内訳書
・有価証券の内訳書(以下※1参照)
・買掛金の内訳書クレジットカードの期末残高
・仮受金(前受金・預り金)の内訳書期末跨りとなった社会保険料の役員本人負担分
・借入金及び支払利子の内訳書役員からの借入金
・役員給与等の内訳書

(※1) 有価証券の内訳書について、保有している有価証券の売買明細を全部記入したのでかなり苦労しました。freee申告で最初に自動連携されたものは勝手に推測されて入力されており使えないので、すべて削除して記入しました。freee申告の入力画面は入力が大変なので、Excel等に下書きし、コピペ転記することを推奨します。(全力法人税は入力画面のできがよいため、途中行の挿入/削除は容易です。)

以下については不要と判断して割愛しました。

別表8(1)受取配当等の益金不算入に関する明細書受取配当なしのため
(1年目の後半に株式取得したため、
配当受取実績なし。来年記事化します。)
別表15交際費等の損金算入に関する明細書交際費なしのため
別表16(7)少額減価償却資産の取得価格の損金算入の特例に関する明細書該当資産なしのため
適用額明細書適用額明細書該当なしのため
(法人税の軽減税率、少額減価償却資産の特例償却とも該当せず)
・雑益、雑損失等の内訳書雑益、雑損失等の内訳書10万円以上のものはないため
(税金の還付金は記載要とあるので、来年からは記載が必要になりそう)

別表6(1)は、所有する有価証券の種類によって記入する欄があったり、そもそも全額申告できなかったりしますが、今回は米国MMFの分配金ということで区分1に記入するだけでした。(株式の配当であれば保有期間に応じた調整が必要とのこと。)

別表6(1)の1行目に記載した数値が別表4の29に転記されたようです。freeeの以下の記事を参考にしました。

上記以外に、決算書に添付する個別注記表についてもfreee申告で入力しました。

また、freee申告で電子申告する場合、財務諸表も電子で提出となります。ガイドブック(初年度赤字版)の「【紙・電子共通】freee会計の情報を株主資本等変動計算書に反映させる(p.36)」の手順を実施後に、freee申告側で作業しました。

財務諸表の数値をfreee会計からfreee申告にインポートするようですが、e-Tax用の決算書表示名に存在しない勘定科目については読み替えの設定が必要になりました。私の場合は以下の読み替えを設定しました。

読み替え前読み替え後備考
前払利息前払費用マネーイズム:法人が保有する外国債券の経過利子の処理方法と税金とは
を参考に、既発債券購入時に支払った経過利子を「前払利息」としていました。
役員長期借入金株主、役員又は従業員からの長期借入金

電子申告はPCから実施しました。基本的に手順通り実施すれば問題なくできると思います。e-Tax(Web版)で、取得した電子証明書をe-Taxの利用者識別番号と紐づける必要があるのですが、過去にこの手順を実施していて、その後に電子証明書を更新/再発行している場合(マイナンバーカードの更新等)は、再度紐づけが必要なので要注意です(給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表をeLTAXから提出したときにこの罠にかかりました)。

申告が完了したら、忘れずに納付をする必要があります(納付までを決算期末から2ヶ月以内に実施要)。私の場合は赤字決算のため均等割だけでしたが、eLTAXを利用しPay-easyで納付できました。

まとめ

以上、申告書の確定にあたり、私が実施した内容でした。申告ソフトは2~3万円程度と高額に感じるかもしれませんが、1年間マイクロ法人を運営する中で経費として各種費用を支払ってきたこともあり、必要経費と割り切ることができるようになっていました。
また、今回は全力法人税→freee申告の順に試しましたが、この順番で試したことで理解しやすかった気がします。全力法人税は分かりやすかったので、お金を落とせなかったのは申し訳ない気持ちでいっぱいです。

さんしぐのプロフィール

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さんしぐ です。40代でのFIREを2022年1月に達成。FIRE関連の情報等を発信したいと思います。2級FP技能士、IT技術者、INTP。

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