「全体総括・所感」からの分割記事です。
申告書の作成に着手する前に、決算書を確定します。
参考にしたサイト
上記の「全体総括・所感」に記載した、会計ソフト、申告ソフトを提供している各社のサイトが参考になりました。
決算整理仕訳という観点では、以下サイトが参考になりました。
決算確定前に実施したこと一覧(体験記)
決算書の確定にあたり、私の場合は以下を実施しました。なお、あくまでも私の体験記ですので、どれが該当するかは人によると思います。
未入力の仕訳を記録する
まずは、未入力の仕訳を記録する必要があります。特に、クレジットカード清算の支払いで請求データが確定しないと会計ソフトに自動反映されないものは注意が必要です。
役員借入金(長期ではない日々の立替金)を清算し、残高0とする
必須ではないですが、決算のタイミングでリセットしておくと決算書の見栄えがよくなります。年度切替前に実施する必要があるので要注意です。
仮払金がある方も清算しておいたほうがよいようです(こちらに関する記事はよく見かけました)。
各口座の実残高が帳簿上の残高と一致することを確認する
銀行口座や証券会社の口座の期末時点の実際の残高が、帳簿上の残高と一致することを確認します。異なるときは記帳漏れ等がないか確認します。現金を扱っていると大変だと思いますが、私の場合は社長が立て替えた分は役員借入金で記帳していたため、キャッシュレスで楽をすることができました。(社長の立て替え分をしっかり記録しておくことは必要になりますが。)
総勘定元帳の各勘定科目を見て、同じ種類の取引が同じ仕訳になっていることを確認
創業直後は帳簿付けに不慣れなことから、年間で見ると一貫性のない仕訳になっている可能性があります。総勘定元帳の各勘定科目の明細を確認し、同じ種類の取引が異なる仕訳になっているものがあれば、修正します。
私の場合、システム関連の支払いで同じ取引を通信費としているものと、支払手数料としているものがあったため、どちらかに統一しました。(どちらが正解というのではなく、毎月発生するような同じ取引は前回と同じ仕訳として一貫性を持たせるのがよいようです。)
1年ルールに従い、短期借入金と長期借入金を区別する
1年ルールについては以下を参照ください。
役員借入金について、freee会計の初期設定では流動負債(=1年以内に返済期日が到来する借入金)扱いとなってしまいます。長期借入金を識別できるようにする対応をとりました。詳細は以下を参照ください。(長期借入金対応という段落です)
1年ルールに従い、来期分以降に該当する費用を、前払費用、長期前払費用に振り分ける
費用としては今期に支払済のものでも、実際に提供されるサービス等が来期分以降に該当する場合、前払費用、長期前払費用(1年以上先の場合)に振り分けます。私の場合は以下が該当しました。
- PCの延長保証料
- 雑誌の定期購読(2年契約)
以下のサイトが参考になります。
為替差益と為替差損の相殺
期中に為替差益と為替差損が両方存在する場合、決算時に相殺して純額で表示するための仕訳をおこないます。私の場合、為替差益が8万円、為替差損が2万円でしたので、
借方 | 貸方 | ||
為替差益 | 20,000 | 為替差損 | 20,000 |
という決算仕訳をすることで、決算書から為替差損の科目がなくなり、為替差益が6万円のみ残りました。以下が参考になりました。
6.為替差損益の相殺
外貨建取引が期中に複数ある場合は、為替差益と為替差損が両方残る場合があります。
https://www.mikagecpa.com/archives/4805/
これらはどちらも「為替」による影響ですので、決算時は相殺して純額で表示します。
益であろうが損であろうが為替による影響という点では同じであり、それぞれを別々に表示する意味はないためです。
固定資産の減価償却
保有している固定資産を固定資産台帳に記入し、当期分の減価償却を仕訳します。
私が使っているfreee会計では、固定資産台帳に償却方法等の情報を記入すると、減価償却の仕訳を自動的に作成してくれました。私の場合、以下の固定資産を登録・申告しました。
資産の名前 | 勘定科目 | 取得価額 | 償却方法 | 関連する別表 |
創立費 | 創立費 | 70,000 | 繰延資産 | 別表16(6) |
デスクトップパソコン | 工具器具備品 | 250,000 | 定率法 (4年) | 別表16(2) |
ノートパソコン | 一括償却資産 | 150,000 | 一括償却 (3年) | 別表16(8) |
知識がないときは30万円未満のパソコンについて少額減価償却資産の特例で即時償却を想定していましたが、そもそも赤字であることから今期に急いで費用化する必要はないと判断し、20万円以上のものは通常の定率法での償却、20万円未満のものは一括償却としました。
(一括償却資産とした場合、償却資産税の対象外とできます。そもそも、合計で150万円以上でないと償却資産税はかかりませんが、将来開始するビジネスで固定資産を導入することになった場合に備えて有利な方法として選択しました。)
私の失敗談ですが、20万円未満のノートパソコンを誤って工具器具備品に仕訳したことにより、決算書の一括償却資産の科目がマイナスになってしまいました。自分で気づいて修正することができましたが、これが税理士クラスタが言う「freee会計利用者でマイナスの科目がある困ったちゃん」か、と納得してしまいました。
freee会計導入時にfreee社から受けたチュートリアルにて、10万円未満の創立費は固定資産台帳に登録不要、と教えてもらったのですが、繰延資産として扱うのであれば登録は必要でした。freee社の営業担当は税理士資格がない方が担当しているようで、会話していると不安に感じてしまいます。格安でサービス提供しているのでやむを得ないですね。税理士さんのビジネスと共存する必要もあるんでしょうし。
以下の記事が参考になります。
法人税を算出した後に、未払法人税の仕訳をきる
これは決算書確定に必要な仕訳ではありますが、申告書を作成する手順の中で税額を算出するため、申告書作成前に実施する必要はなかったです。特に、全力法人税を使う場合は、この仕訳がない状態でインポートする必要があるので、この段階で実施してはいけない、ということになるようです。
債券関連の決算仕訳
債券について、取得価額と債券金額の差額が金利の調整と認められるときは、償却原価法により処理する
債券を保有していて、取得価格が債券金額と異なる場合に該当します。償却原価額を算出するのは意外と面倒でした。
(債券の仕訳については別記事で作成予定です。完成したらリンクに差し替えます。)
1年ルールに従い、保有している債券の残り期間が1年を切ったら投資有価証券から有価証券に入れ替える
債券を保有していて満期まで1年未満のものがある場合に該当します。私は該当ありませんでしたが、現在保有している債券が10年後に満期となるため、9年後に該当することになりそうなので、備忘として記載しています。
(債券の仕訳については別記事で作成予定です。完成したらリンクに差し替えます。)
有価証券の時価評価(含み損益は評価損益として示す)
中小企業の会計に関する基本要領を適用する場合、売買目的有価証券でなければ期末の時価評価替えは不要とできます。
(実は、最初は時価評価が必要だと誤認してやっていたのですが、かなり面倒でした。翌期初に忘れずに漏れなく戻す、というのも必要になるので、やらないですむならそうしたいところです。)
まとめ
以上、決算書の確定にあたり、私が実施した内容でした。マイクロ法人としていろいろなものに投資した場合、仕訳が大変になるため、シンプルな投資に留めるのがよいかもしれませんね。
決算書の確定が完了したら、次は申告書の作成に着手します。
さんしぐのプロフィール
さんしぐ です。40代でのFIREを2022年1月に達成。FIRE関連の情報等を発信したいと思います。2級FP技能士、IT技術者、INTP。