マイクロ法人運営:役員報酬支払・社会保険料納付(記帳方法含む)

マイクロ法人

登記および各種届出完了後は、実際に法人を運営していくことになります。毎月発生することとして、役員報酬の支払、社会保険料の納付があります。

さんしぐ
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役員報酬を支払うときの源泉徴収はどうやるんだろう? 社会保険料の納付はどうすればいいんだろう?

私がマイクロ法人を設立するときに具体的にどうしていくかよくわかりませんでした。実際にマイクロ法人を運営してみてわかったことを記載していきます。

役員報酬・社会保険料の計算

源泉所得税の計算

結論から言うと、1等級であれば源泉所得税は0円でよいのですが、0円にするためには「給与所得者の扶養控除等申告書」を作成しておく必要があるようです。

源泉徴収税は、国税庁が定める「源泉徴収税額表」によって計算します。

p.1が実際の税額表ですが、甲欄該当なら88,000円未満は0とあります。

p.19からが源泉徴収税額の求め方の説明で、甲欄と乙欄についての説明があり、甲欄を選択するためには「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を会社に提出しておく必要があるようです。給与所得者の扶養控除等の(異動)申告の詳細は以下にあります。

この記載を見ると、給与の支払いを受ける人が、会社(給与の支払者)に対して提出し、会社(給与の支払者)が保管すればよさそうです(税務署から求められれば提出する)。そういえば、この書類はサラリーマン時代に書いた記憶があります。

ということで、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を作成し、保管しておきましょう。

なお、私が参考にした書籍は以下です。p.194に記載があります。

住民税の特別徴収

上記本のp.196に記載があります。昨年度分の住民税はマイクロ法人として役員報酬を支払ったものではないので、個人で納入、でよさそうです。2年目からは手続きが必要かも、と思いましたが、調べていくとマイクロ法人で特別徴収せずに普通徴収とすることができるようです。

世田谷区の例ですが、以下のように記載がありました。

普通徴収切替理由書について
個人住民税について普通徴収該当者がいる場合は、給与支払報告書の提出時に、普通徴収切替理由書に該当人数を記入して提出してください。また、普通徴収該当者の個人別明細書の適用欄には、普通徴収切替理由書の符号(普A~普Fのうちいずれか一つだけ)を必ず記入してください。
eLTAXで提出される場合は、普通徴収切替理由書の提出は必要ありません。
普通徴収に該当する理由と記号は次のとおりです。
普A 総従業員数が2人以下
普C 給与が少なく税額が引けない(年間の給与支払額が100万円以下)

https://www.city.setagaya.lg.jp/mokuji/kurashi/003/001/001/004/d00143117.html

社会保険料の計算

上記本のp.198に記載があります。そもそもですが、翌月徴収(例えば、3月分を4月に徴収する)が基本とのことです。(サラリーマン退職の最終月に2ヶ月分引かれている方がほとんどだと思います。入社の初月は引かれていなかったことになりますね。)

具体的な保険料ですが、以下を参照します。(令和4年度分です)

例として東京のテーブルを見ると、報酬月額63,000未満だと1等級(58,000円)となり、健康保険料(介護保険込)は6,641.0円/月(折半で3,320.5)、厚生年金保険料は16,104円/月(折半で8,052)となります。端数は、被保険者分は四捨五入。納入告知書の保険料額は切り捨てとのこと。毎年テーブルの改正が入るので4月末は注意が必要です。

具体的にどのようになるかは、本記事最後の社会保険料納付の記帳部分を参照ください。

実際に役員報酬を支払う

上記を踏まえ、役員報酬を法人口座から社長個人の口座に振り込みます。法人口座が作成されるまでは、法人資金を管理している個人の別管理の口座から、個人の口座に資金を移動する形をとればよいと思います。私は住信SBIネット銀行の目的別口座で法人資金を管理しました。

初月は控除するものがないため、役員報酬月額をそのまま支給。2ヶ月目以降は、社会保険料を控除した額を支給することになります。

実際に社会保険料を納付する

日本年金機構から毎月納付書が送付されてくるので、Pay-easy等で納付します。(下旬(24日頃)に届いて、末日が納付期限となっており、期限が短いので注意が必要です。)
法人銀行口座が用意できたら、手続きをして銀行引き落としへ切り替えるとよさそうです。(銀行引き落とし手続きの案内も、日本年金機構から手紙で届きます。)

役員報酬支払の記帳

役員報酬の支払について、記帳も必要です。私はfreee会計を使っていますが、以下を参考にしました。

freeeヘルプセンター:社会保険料の納付の処理をする(毎月末)

freee取引入力ナビ:[法人]社会保険料を登録したい

役員報酬支払の取引テンプレートが用意されているので、それを利用して不要なものは削るとよいと思います。私は以下のような感じです(令和3年度の金額なので上記金額と異なっています。)

freeeのリンク先を見ると、締日と支払日が別なので未決済で登録、とあります。私の場合は、記帳が複雑になるのを避けるために、締日、支払日とも末日として、決済済み取引としています。

社会保険料納付の記帳

社会保険料の納付についても記帳も必要です。以下を参考にしました。

freeeヘルプセンター:社会保険料の納付の処理をする(毎月末)

社会保険料納付の取引テンプレートは用意されていないので、自分で作成するとよいと思います。私は以下のようにしました。

この取引テンプレートを使って、入力した例は以下です。

日本年金機構から送付された納付書に記載がありますが、子ども・子育て拠出金も必要です。

e-Taxでの徴収高計算書データの送信 (2022/5/26追記)

ワンストップサービスで源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請を提出している場合、年2回(1,7月)にe-Taxで源泉所得税が0円であることを税務署に送信する必要があります。

「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請」ですが、申請した翌月から有効とのことです。申請当月に役員報酬の支払が発生した場合は、単月分として徴収高計算書データの送信が必要になります。(例えば、4月設立法人で4月に「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請」を行い、4月の役員報酬を支払った場合、4月分の役員報酬について徴収高計算書データの送信が必要となり、5,6月分の役員報酬について徴収高計算書データの送信が必要となるそうです。私の場合、初回分が必要であることを認識しておらず、数ヶ月後に税務署から確認の電話がありました。0円であることを口頭で伝えて事なきを得ました。)

以上が役員報酬支払、社会保険料納付の説明となります。最初は大変ですが、慣れれば毎月末に忘れずにしっかり実践していくだけになると思います。

なお、当方は税理士や社会保険労務士ではありません。上記はあくまでも私が実際に体験したことを記載しています。誤り等あるかもしれませんので、正確な情報については専門家の方に確認ください。

さんしぐのプロフィール

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さんしぐ です。40代でのFIREを2022年1月に達成。FIRE関連の情報等を発信したいと思います。2級FP技能士、IT技術者、INTP。

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